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2020年度(令和2年度)第2部_第三分科会_報告

2021年2月6日。
今振り返るとすごく前のことのような気がします。
第2回ともに学び、生きる共生社会コンファレンスin北海道を開催しました。
この記事では、午後に行われた第三分科会の報告をさせていただきます。


第三分科会では、「もやわくカードゲーム」を行いました。

「もやわくカードゲーム」は、
私たちの身の回りにある
「もやもや」と「わくわく」の組み合わせを考えてスッキリする、
私たちが新しく作ったゲームです。

例えば、
「手洗いの回数が増え、手がカサカサになる」
という「もやもや」があります。
それに対して、
「お気に入りのハンドクリームを買う」
という「わくわく」が組み合わされると、スッキリしますよね。
実際にカードゲームをしてみると、予想外の組み合わせが生まれてきます。

当日には、
「手洗いの回数が増え、手がカサカサになる」
という「もやもや」に対して、
「五本指靴下に、一瞬で指が入る」
という「わくわく」でスッキリさせているグループがありました。
同じ「もやもや」に
「ネットで映画を観る」
という「わくわく」を組み合わせてスッキリしているグループもありました。

リアル会場でこのゲームを行う場合には、
「もやもや」を起点として、人と人が出会います。
人と人の組み合わせは「偶然」です。
「もやもや」と「わくわく」も偶然に出会います。
そんな「偶然」の「出会い」を生むために、
もやわくカードゲームオンラインでは、zoomのブレイクアウトセッション機能を使うこととしました。

zoomのブレイクアウトセッションを使用すると、小グループに別れて活動をすることができます。
ランダムにグループを分けられるので、偶然性も確保することができます。


第三分科会の前半には、事前に用意したカードを使って遊びました。
後半には、オリジナルの「もやもや」「わくわく」を考えて、ゲームを行いました。
人の組み合わせを変えて、グループワークを繰り返し行いました。
グループごとにGoogleフォームでその組み合わせを入力し、収集した組み合わせを、Googleジャムボードで同時編集して「見える化」しました。

 

1回目のグループワークでは、
7の「もやもや」と「わくわく」の組み合わせが生まれました。

2回目のグループワークでは、
11の「もやもや」と「わくわく」の組み合わせが生まれました。

(少しずつ、見通しをもってゲームを行うことができるようになってきたことがわかります。)

3回目のグループワークでは、
15の「もやもや」と「わくわく」の組み合わせが生まれました。

(グループワークを終えて、集まってきたみなさんの表情が、だんだんとやわらかくなってきたのを感じました。)

 

その後、グループに分かれて、オリジナルの「もやもやカード」と「わくわくカード」を作成しました。
4回目のグループワークでは、
17の「もやもや」と「わくわく」の組み合わせが生まれました。

(グループに入ってみると、ユーモアに溢れる「もやもやカード」「わくわくカード」、そしてその組み合わせを楽しんでいる様子が伺えました。)

5回目のグループワークでは、
8の「もやもや」と「わくわく」の組み合わせが生まれました。

グループを終えて全体で集まった時、グループワークが盛り上がっていたことがみなさんの表情から伝わってきました。
それにも関わらず、4回目から5回目にかけて、組み合わせの数は半数以下に減りました。
「なんでですか?」と聞いてみると、
「もやわくの組み合わせだけではなく、この場自体について話すようになってきました。」
とのことでした。

視点が「メタ」に変化し、この場自体について話し合うようになっていったようです。


こちらが最後のグループワークで収集した振り返りです。

最後に、みんなで感想を話しつつ、振り返りをしました。
ある方が話していた時、恐ろしいことが起こりました。
オンラインでは「あるある」の、「フリーズ」。
通信状況が悪く、話の途中で、話している方の画面が固まってしまったのです。

(どうしよう…)

そんな空気がオンライン上に流れました。

すると、ある人がミュートをオフにして切り出しました。
「あ、大丈夫ですよー。この人たち、電波が悪くて、時々固まるんですー。」
「そうそう。ちょっと待っていれば動き出しますよー。」
「じゃあ、待ちますか。」

みんなが、固まった一つの画面に関心を集め、
無言で、その人たちが動き出すのを待つ時間。

そして、
その画面が動き出した時、
「お〜!」
と歓声が上がりました。

「この人たちは、時々固まるよね。でも、ちょっと待てば大丈夫。」
私たちは、そうやって、無言の時間と動き出した時の感動を共有しました。

 

活動をともにして、
ある人たちが抱えている「もやもや」を、知る。
「ちょっと時間かかるけど、大丈夫」と、待つ。
待っている時間すら楽しい。
動き出した時の感動をともにする。

これはまさに第三分科会で生まれた「ともにある」姿でした。


 

振り返りをいくつか紹介します。

・課題があると、どう解決しようかと考えるが、このゲームでは、解決先が提示され、どうつなぐかを考えるので、前向きに考えられた。
・共通のモヤモヤもあって、それが分かっただけでもすっきりした。わくわくが見つからなくても「わかるー」が良かった。一緒に考えてくれるだけでも嬉しい。
・当事者のみならず、互いに掛け合い共事者としてあることがより良い共生に繋がるのかなと。ケアや気遣いに繋がるのではないかなと。第三分科会でのゲーム性があることで、午前中の内容を咀嚼できた。身近での取り組みも出来る可能性は広がった。
・小グループでの話し合いを繰り返してく中で、だんだん構えなくなった。雑談が楽しかった。全然違う話も盛り上がった。
・モヤモヤとワクワクをくっつけるゲームだったが、目的以外の話し合いや共感こそ大切だと感じた。

これらの振り返りから、第三分科会では私たちの抱える「もやもや」を起点として、新たなコミュニティが生まれる可能性が示唆されたと考えています。
また、午前中のシンポジウムの内容とつなげた振り返りもみられ、午前中の活動の具体として分科会の役割を果たせたと考えています。

「もやわくカードゲーム」については、イベントだけで用いるのではなく、日常的な活用についても検討していきたいと考えています。
「もやわくカードゲーム」に興味をもってくださった方がいらっしゃったら、ぜひご連絡ください。
ワークショップのアイスブレイクに。
職員の研修の一部として。
ぜひその活用方法についても、ともに考えたいと思っています。


午前中のシンポジウムで、「私たちは分断と連帯の分岐点にいる」という話がされました。
今回、第三分科会について、このように報告を作成し、そこに「連帯」の芽が生まれていることを改めて確認しました。
でも、実は、その裏側に「分断」があるのではないか。
午前中のシンポジウムで、堀田先生がお話をしてくれた「あまりにも厳しすぎる分断」という言葉が頭を離れません。
私の乏しい想像力の届かない場所で、私のすぐ横で、「あまりにも厳しすぎる分断」が起きている。

「『楽しかった』で終わらせたくない」
「生まれつつある『芽』を大切に育てたい」
今、コンファレンスを振り返って、そんなことを考えています。

みらいつくり研究所 松井