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『旅の途中のお食事会』(グリーフを抱える人の当事者研究)のご報告

『旅の途中のお食事会』

また、会えるなんて

いつも気になっていたんです

でも、連絡できなかったんです

 

・・職場の個人情報のきまりで(医療者)

・・ご連絡したら悲しみを思いださせてしまうんじゃないかと思って(医療者)

・・もう患者じゃないので外来にいけないし、連絡しても迷惑かけると思って(家族)

あの時、隣にいてくれて、ありがとう

お写真使用の許可をお願いする際には「写真使用大丈夫です。(子どもの)活躍があちこちに感じられてありがたいです」とのコメントをいただきました。

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 2018年にはじまり、これまでに4シーズンに渡り16回の研究を繰り返してきた「グリーフ抱える人の当事者研究」。

「近しい人を亡くした当事者」と「その人たちといっしょに生きやすい世の中をつくりたい当事者」とで集まり、それぞれのグリーフを眺め、説明し、共感し、それらとの折り合い方などを研究してきました。

第4シーズンも折り返しを迎えた2023年10月、折しも医療法人稲生会設立10周年にあたりました。

10周年を記念して企画された講演会として行われたのが、当時米国バーモント大学にて教鞭を執られていたProf. Allan Kellehear,アラン・ケレハー教授による「COMPASSIONATE COMMUNITIES The concept and practice around the world(コンパッションに支えられたコミュニティ その概念と世界における実践)」。グリーフ当事者研究のメンバーの大部分が聴講しました。

その中に演者が「医療者が死、死にゆくこと、喪失について正しく知る必要がある」といった趣旨の話をしていたことが、グリーフ当事者研究の中でも医療者との関係が繰り返し話題になっていたことと応答し、

「医療者を対象として死や喪失について考える場をつくろう」という流れとなりました

重い障害や病気をもったお子さん達は、NICU(新生児集中治療室)や在宅医療との関わりにより、医療者との関わりが大きな部分を占めています。

子どもが産まれた時、在宅で医療を受けながら過ごしていたとき、その時に関わってくれていた医療者のみなさんと再開し、当時のことをお互いの立場から見直し、今の自分達の姿、グリーフの受け止め方について知って頂くための会を企画しました。

「旅の途中のお食事会」は2024年8月31日(土)に実施されました。

障害をもって産まれたお子さんと死別したご家族3組、

それぞれに関わっていた医療者、スタッフとあわせて30名強のお食事会です。

当日のお天気は雨。それも、参加者の中には交通止めにあってしまう方もいるような土砂降りの雨でした。

しかし、その中でも奇跡的にみなさんがお集まりになり、

みんなで餃子をつつみ、食事をし、家族からのスピーチに耳を傾け、想い出の品を眺めながら、

すこし浮世ばなれしたような、あの世とこの世の存在と巡り合わせを感じるような時間がながれていきました。

子ども達の身体はなくなっていても今も生き続けて、関係性を繋ぎ続けて、成長していることを改めて感じさせる時間でもありました。

亡くなったお子さんのきょうだいたちが、幼い魂に蒔かれた種からでる芽や根を、今も現在進行形で育て続けていることにも。

「グリーフサポートは、雨宿りのようなもの。」

本日のご家族のお一人である方が、ご自身がグリーフを抱える人を支える側の役割に回られた後で教えてくださったことばです。

大雨から一時避難する際に差し伸べる傘や軒先。暗い雨雲が立ちこめる一時を横並びで過ごし、

雨が止んで再び歩き出していくのを見送る役割だと。

はじまりの大雨、振ったり止んだりしながら、すっかり青空でめいめいが送り出されたこと、

この後またどのような天気や道が用意されているか分からないけれども、

またこのように巡り会う一時があるかもしれないこと。

まるでグリーフの旅のひとときを象徴しているかのような1日でした。

「ふわふわした気持ちが、その後1週間経ってもどこかに残っている」

参加者に共通したことばです。

研究だからといって、地に足をつけている必要もないのかもしれませんね。

次回の当事者研究は、そのふわふわをみんなでことばにしてみようと思います。

 

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 『グリーフを抱える人の当事者研究』目的

会の目的

①「死別によるグリーフ」を体験をした人と集い、語り、聴き、共感し、照らし合わせ、違いを知り、振り返り、語り直す機会とすること。

②「グリーフを抱える人」と共に生きるためのヒントを提供すること。

※グリーフを抱える人を「ケアする」ことを目的として設定された場ではありませんので、ご理解の上ご参加ください。

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『グリーフを抱える人の当事者研究』実施テーマ一覧

Season1(2018年 5回)

第1回「喪失後の体調変化について」

第2回「宗教とグリーフの関係について」

第3回「社会的役割とグリーフについて」

第4回「グリーフと共に生きる。

グリーフと共に生きる人と生きる。」

第5回「これまでの振り返り」

 

Season2(2020年 1回)

第1回「最近の様子」

 

Season3(2021年 5回)

第1回「写真展に『会いに行く』」2021年4月22日(木)10:00-11:30

第2回「亡くなった方との関係性の変化」2021年5月27日(木)10:00-11:30

第3回「あの人を想い出させる〇〇」2021年7月30日(金)10:00-11:30

第4回「フラッシュバックの状況報告」2021年7月30日(金)10:00-11:30

第5回「グリーフを伝えること」2021年10月1日(金)10:00-11:30

 

Season4(2023年7月~現在開催中)

第1回「研究の研究の研究」2023年7月21日(金)10:30-12:00

第2回「死を告げるということ」2023年9月20日(火)10:30-12:00

第3回「何故死を語ることはかくも難しいのか」2023年11月15日(水)10:00-11:30

第4回「Allan Kellehear講演会の振り返り」2024年1月24日(水)10:00~11:30

第5回「コンパッションに満ちた場づくりの計画」2024年3月13日(水)10:00~11:30

計4回 「コンパッションに満ちた場作りの企画MTG」
①2024年4月24日(水)12:00~13:00
②2024年5月29日(水)12:00~13:00
③2024年7月03日(水)10:00~11:00
④2024年8月14日(水)10:00~11:00

「旅の途中のお食事会」2024年8月31日(土)10:00~13:30

 

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【グリーフを抱える人の当事者研究についてのお問い合わせ・お申し込み】

医療法人稲生会 目黒

011-685-2799

meguro-yu@kjnet.onmicrosoft.com