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しさくの広場2024 春 作品No.10_ひかる

春になるとは
酒瓶に映る自分に問う
昨日と違うのは髪の毛をひとつにまとめているということ

春になるとは
視界を360度に巡らせる
40年間変わらず喫茶店の店内
年季の入ったいす
過去のお客さんの面影を感じる

春になるとは
後ろのお客さんの会話に聞き耳を立てる
人生について、価値観について語る
私も思わず自分の人生について考える

春になるとは
そのことに意識を向けるということ
自然と意識させられてしまうということ

春になるとは
もう一度酒瓶の自分に問う
さっきとは何も変わらない自分がそこには映る

 

(ペンネーム  ひかる:京都府在住)