Works

作品No.004_しさくの広場2021夏

星座が一つなくなったら
占い師たちは困るだろうか
星座が一つなくなったら
舟は迷ってしまうだろうか
星座が一つなくなったら
空に隙間ができるだろうか

星座が一つなくなっても
占いなんて興味はないし
星座が一つなくなっても
Googleマップが手元にあるし
星座が一つなくなっても
ただ私の心が虚しくなるだけ


交流週
・なくなった星座は何座でしょうか。わたしたちとは異なる歩み方をしていた星座でしょうか。何度も泡を吹いていた星座でしょうか。その星座はわたしたちという舟にとって羅針盤だったでしょうか。Googleマップではたどりつけない何処かへともに向かっていたのでしょうか。空にできた隙間とわたしたちの心は何で埋めたらよいのでしょうか。「いつもここにいますよ。もともと不要不急の外出はしませんから」と言って、上からわたしたちのマップを見ているような気もします。だとすれば、わたしたちにはまだ希望があるのでしょう。
・『星座がなくなったら』と『星座がなくなっても』の対比が面白いですね。星座がなくなっても平気‥という展開から、最後の『ただ私の心が虚しくなるだけ』というのは作者の心境も面白いです。察するに色々な想いがあっての詩かと思います。勝手な想像ですが、この方にとっての星座=魂(命)なのかもしれませんね。わたしならどう詠むか考えたときに、最後は『星座が一つなくなったら ただ私の心が虚しくなるだけ』と詠むだろうなと想いを巡らせました。楽しく読ませていただきました。
・夜空にはたくさん星座があるはずなのに、失われたそこだけは穴があいたような暗点で、寂しさはいつまでも埋まりません。
・あたりまえにそこにあったものがなくなる、心の隙間と虚しさが伝わってきました。胸がちくっとしました。


推敲週
「友人」が亡くなりました。その方を「友人」と一般化して呼ぶことに違和感があるのは、その方が固有な生き方をしていたからなのかもしれません。
今文章を書いていて、この喪失感は私の内側にあるのではなく、私の隣にあるように思いました。たくさんのコメントをありがとうございました。