Works

作品No.002_しさくの広場2021夏

「~へ行け」   Go To   物語

 

五厘亡者の金の声
酒業無情の嘆きあり
まだ勝負の罠の色
旅者一切の断りをまだ待つ。
Oh no ! Let it be. No more, it’s like a zoo.
すわ、よし、行けの夢のごとし
たけき者も遂にはほろびぬ
Hit any disgust ! No more, no chilly strategy!


交流週
・このシリーズ、ことば遊びが面白いですよね。世の中がうまく切り取られている感じがします。我が家の夏休み中の子どもたちを現すとこんなかんじかしら。
「レモンソーダ!」の姉の声。
少々身侭な響きあり。
・リズム良く言葉遊びが続きます。「Oh no!」と書かれたあたりからプププと笑いながら読みました。英語と日本語が混ざる作品はどうやって作るのだろう…と考えていました。
・勇者が立ち上がり物語がはじまる。力強さを感じます。


推敲週
>・このシリーズ、ことば遊びが面白いですよね。世の中がうまく切り取られている感じがします。我が家の夏休み中の子どもたちを現すとこんなかんじかしら。
>「レモンソーダ!」の姉の声。 少々身侭な響きあり。
「シリーズ」と言ってくれてありがとうございます。いつも著者名を書いていないのですが、バレてますね(笑)「身侭」って「みまま」って読むんですね。「身を拘束されず、思うままにふるまえること」とありますが、レモンソーダを「みまま」に飲んでいるお姉ちゃんの姿を想像してしまいました。

>・リズム良く言葉遊びが続きます。「Oh no!」と書かれたあたりからプププと笑いながら読みました。英語と日本語が混ざる作品はどうやって作るのだろう…と考えていました。
以下、解説します。

 Go To
「~へ行け」物語
>もちろん「平家物語」のパロディです。昨年から様々な「GoTo」政策が展開されていますが、感染爆発とも呼べる状況の中でオリンピック開催にも「Go To」する姿勢を風刺したものです。
・祇園精舎の鐘の声 ⇒ 五厘亡者の金の声
>言うまでもない感じですね。
・諸行無常の響きあり ⇒ 酒業無情の嘆きあり
>いつも「悪者」にされて繰り返し営業停止の憂き目にあっている「酒業」の方々の「嘆き」に思いを馳せてみました
・沙羅双樹の花の色 ⇒ まだ勝負の罠の色
>「オリンピック強行」という「勝負」にまだのめり込み続けるんだなーなんて思ってたら、パラリンピックについても「まだ勝負の罠」にはまったままですね。
・盛者必衰の理をあらはす。 ⇒ 旅者一切の断りをまだ待つ。
>色んな変異型ウイルスが世界中から入ってきている状況ですが、オリンピック開催もあるので、入国を止めることはできないんですよね、きっと。
・おごれる人も久しからず ⇒ Oh no ! Let it be. No more, it’s like a zoo.
>このあたりから、日本語で置き代えるのが難しくなってきて、無理やり英語です(笑)とくに、「おごれる人も」のところは「お行」の音が多く、なかなか置き代えられる日本語が無いなーなんて思っているとき、「Oh no !」という英語が思い浮かんだので、ええい、全部英語にしちゃえ、となりました。とはいえ、「(おご)れる人も」と「(久し)からず」のあたりが英語でも置き代えられる言葉を見つけるのが難しかったです。たまたま「れる」を「Let it」、「からず」を「like a zoo」と思いつき、並べてみたら「またか!好きにしてって感じ。もう勘弁。これってまるで動物園だな」となりました。
・ただ春の夜の夢のごとし ⇒ すわ、よし、行けの夢のごとし
>ここの前半部分は音を無視しました。国会答弁で自身が子どもの頃に観た東京オリンピックの思い出を語り、「今の子どもたちにも夢を観てほしい」という謎の論理でオリンピックを強行しようとする菅義偉(すが・よしひで)首相を風刺してみました。
・猛き者も遂にはほろびぬ ⇒ たけき者も遂にはほろびぬ
>ここはあえて代えませんでした。今の状況で、「猛き者」って誰なのかなー、なかなか「ほろび」ないなー、なんて考えてしまいました。
・ひとへに風の前の塵におなじ。 ⇒ Hit any disgust ! No more, no chilly strategy!
>ここも、置き代えられる日本語が見つからず、再び英語に。「ひとへに」から「Hit any」を思いついたのですが、「風(かぜ)」を「disgust(でぃすがすと)」と濁点を置くところを代えて置き代えてみました。後半では、「塵(ちり)」はすぐに「chilly」と思いつき、「におなじ」は「strategy(すとらてじー)」にすれば全体として意味が通じるなーと。結局、「反吐が出るような策は吹っ飛ばしてしまえ!寒々しい戦略はもうやめて!」とまとまりました。

今回しさくしてみて、自分は「しさく」を「言葉遊びを通して社会風刺する」ことだと捉えているんだなーと改めて感じました。