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生活者010

令和2年10月8日発行 みらいつくり個人誌『生活者』No.010 発行者:松井翔惟

昨日、「久しぶり」に稲生会の「事務所」で朝ミーティングに参加しました。なぜ「久しぶり」かというと、私は四月以降在宅ワークを継続しており、ごくたまにある拠点での仕事の際にも、朝から出勤することはなかったからです。なぜ「事務所」で参加したかというと、外から見学・研修の方が来てくださったからです。
事務所に着くと、今は同僚でもあり、もう三十年近くなる付き合いの友人でもある高井さんから「久しぶりだね」と声をかけられました。
久しぶりに身をおいた朝ミーティングの事務所はがらんとしていて、誰も座っていない椅子と、机から垂れ下がっている使わなくなったランケーブルが目につきました。
研修で来てくださった二名の方に簡単な挨拶をしていると、いつもはパソコン越しに聴いている事務長の声が直に聞こえてきました。
私は、慣れない大型画面のテレビから流れてくる声に耳を傾けながら、「今のアナウンスは、稲生会らしさが伝わるな」と思って、研修に来てくださった二人に目をやりました。二人は何とも言えない表情をしています。ミーティングの後半、私の集中力がピークを通り過ぎた頃、私がふと目をやると、その二人は、看護師らしい小さなメモ帳を手に取って、カリカリサッサと何かを素早く書き込んでいます。私は「不思議なもんだな」と思いました。
ミーティングを終えても、そのメモがどうしても気になったので、階段を降りながら「何をメモされていたんですか」と聞いてみました。二人は私以上に不思議そうにしながら「患者さんがどんなことで困っているのかをメモしました」と教えてくれました。
場所を移して、私から稲生会の概要をお伝えしました。「『ために』ではなく『ともに』」が、私の説明のポイントです。マスク越しにもその二方の明るく楽しいお人柄が伝わってきました。時々、三人でワハハと笑いながらお話を続けました。松木さんが加わると更に笑い声は大きくなりました。
私は「今朝のミーティングはどうでしたか」と聞いてみました。一人の方が少し間を開けた後、「…合理的ですね」と言いました。確かにこの半年で、私たちは「合理的」になったのかもしれません。私は「トルストイだったら、チャペックだったら、私たちを見て何を思うだろう」と考えました。
今日は読書会。課題作品はサン・テグジュペリ『星の王子さま』です。


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