2020年7月9日(木) 15:00~16:30で、第9回となる「みらいつくり哲学学校オンライン」を開催しました。
(いつもは13:30~15:00ですが、今回は諸事情で時間変更しました)。
奇数回は、大阪哲学学校編『生きる場からの哲学入門』を課題図書にしています。
今回は、みらいつくり研究所の活動のひとつである、「みらいつくり大学」の教務主任である宮田直子がレジュメ作成および報告を担当してくれました。
テーマは「子どもを産むことに関する事柄 自然から自由へ」でした。
著者は、「妊娠・出産」を「労働」として捉えるところから出発します。
このような「労働」を行うことにより、女性自らの「自由を喪失する」ことになるのだと。
「妊娠・出産という労働」において女性が失うものとして、
①「懐胎」における身体的自由
②自由な選択(産む・産まないの決断)
③自己統治的自由
④経済的自由
⑤自らの可能的未来を追求する自由
を挙げます。
また、親-子の関係を取り上げ、そこには「血縁幻想」があるとします。
血縁幻想を脱却し、赤ちゃんを「世界公民」と考えることにより、「妊娠・出産という労働」は「自由な労働」になるのではないかと言います。
フランスの哲学者ボーヴォワールは
「胎児は女の体の一部であり、また女の体を養分にする寄生物である」
と表現したそうです。
なかなかの比喩ですね…。
実際に妊娠・出産を経験した参加者からは、「妊娠=労働」というのはイメージしやすい、という意見がありました。
ディスカッションでは、子どもに対する、母と父の関係性の違いについて議論が及びました。
妊娠・出産を経験した参加者の経験からは、子どもについて、母は「自分事」として想像するが、父はそれができないのではないか、という意見が挙がっていました。
私も三人の娘を持つ父ですが、確かに子どものことを「自分事」として想像することは無かったように思います。
今回は「フェミニズム」の議論でもありましたが、議論の前提がはっきりと示されていて、批判的に議論しやすかったように思います。
内容の賛否についてはさることながら、「きちんと議論ができるように主張する」ということは重要ですね。
第10回は7月14日(火) 10:30~12:00にすでに終了してしまいました・・・。
第10回はハイデガーの『存在と時間』より第4章「共存在および自己存在としての世界内存在 『世人』」でした。
第11回は、7月22日(水) 13:30~15:00です。
奇数回はいつもは木曜日ですが、23日が祝日のため、前日の水曜日に変更になっています。
『生きる場からの哲学入門』の第Ⅰ部「生きることと哲学すること」の最後、
第5講 「食の哲学」入門 -フォイエルバッハを参考に「食と宗教」について考える
です。
レジュメ作成と報告の担当は、医療法人稲生会の管理栄養士 久保香苗です。
ちなみに少し先ですが、第13回は哲学学校初の「定時制開催」となります。
8月6日(木) 午後9時~午後10時30分
『生きる場からの哲学入門』の第Ⅱ部「生きる場からの思索と哲学」の
第1講「生と死とおひとりさまを考える」
レジュメ作成と報告の担当は、三重県の訪問看護師さんです。
「普段日中は仕事しているから参加できない…」という方もぜひ!
また、オンタイム参加できないという方で、録画だけはずっと見ています、という方もけっこう数名いらっしゃいます。
ぜひご連絡ください。
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