2025.10.17_公開
小雨が降っています.
こんな日に寄って行く人なんて,
と思っていたら,
足を止めて,軒先に入って,本を眺めている人がいました.
本を数冊手に取っています.
しばらく眺めていたので,私から声をかけました.
稲生会の事務所の近くに住んでいて,何かの用事の後,通りがかったようです.
「ここって何なんですか?」
その方は不思議そうに建物の内側に目をやりました.
「医療法人で,訪問診療などをしています」
「最近,本屋さんを始めました」
私は簡単に説明をしたのですが,その方はもう少し興味がありそうな雰囲気でした.
「もしよければ,中をご案内しましょうか」
と話してみると,
「はい,お願いします」
と言われました.
稲生会の食堂・カフェスペースを案内して説明しました.
どんぐりの森に立ち寄りました.
3階の事務所で,札幌市の地図をお見せして,訪問診療について簡単にお伝えをしました.
「医療的ケアが必要な方は身近におられますか?」
私が何気なく聞いてみると
「はい,います」
とその方は答えました.
玄関で,巻き寿司文庫が,巻き寿司の会から始まったことを伝えると,
その方は笑って「楽しそうですね」と言いました.
「次のお知らせができたら見えるところに貼っておきます」
「この前はよく通るので,気にしてみます」
「私が本の横に座っていたら,立ち寄らなかったかもしれないですね」
「そうかもしれません」
そんな会話の後,その方は帰っていきました.
「人がいてはじめて空間が立ち上がる」
本があって,少し離れたところに私がいて,
その間に,空間は立ち上がっているのかもしれません.
2025.10.17
みらいつくり研究所
手稲まちごと巻き寿司文庫 店主 まついかい