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しさくの広場2024 春 作品No.74_望月さみ

朝6時 淋しさが薄れゆく

 

スローテンポでさめるホットミルクに頬ずりの目覚め

玄関には新しい靴が口を開けて待っている

きっと

どこへだって行けるはず

けれど

いつもと同じ場所へ行く

やわらかな匂いのまだつめたい風が

すれ違いざま耳打ちをする

 

ららるるららるるろろろ

 

口の中で転がる春のうた

新しい靴を少しずつ汚しながら

蕾ふくよかな桜へ

陽に潤むような挨拶を

 

 

望月さみ