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しさくの広場2024 春 作品No.63_えきすときお

春はなんて残酷な季節だろう。花々はあんなにきれいに咲きみだれ、鳥たちも花に負けじと美しく翼をひるがえす。石垣のうえのやわらかなみどりに心うばわれ、ゆるやかにながれる風にのって舞う蝶々をたとえる言葉を人はみつけられるだろうか。山々がうたう生命の賛歌は谷間のながれにそって里の家々にまでそのコーラスをひびかせる。彼はひとり家の窓から春をながめて既存の言葉でしかあらわせないことに絶望する。

 

(えきすときお)