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しさくの広場2023 夏 作品No.18

夏の果

何にでもなれたはずの未来も
みなぎっていたはやる気持ちも
アスファルトの上で蒸発する
あの青が褪せないように
記憶の引き出しの奥に隠した
いつかの夏の残滓さえ
感傷となって牙を剥く

夏の終わりまで歩き切って
解ける飛行機雲に背を向けた
灰色のオフィス街で
リクルートパンプスを引き摺り
自然な笑顔を作らされる
すぐにひぐらしの声も消えて
くすんだ長い季節を
ゆるやかに下るのだろう
絶望と共生することを覚えて
私は大人になってしまう