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「グリーフを抱える人の当事者研究Season3-5」開催報告

   

「グリーフを抱える人の当事者研究」Season3-5開催報告

Season3は今回で一段落!
来年のSeason4の研究者も募集中です。

 


第5回目は2021年10月1日(金)10:00-11:30に開催されました。

(グリーフを抱える人の当事者研究Season3の概要についてはこちらをご覧ください)

 

報告

Season3の最終回、第5回のお題は「グリーフを伝えること」

 

「伝える」といっても「誰に伝えるか」によってもちがってきますよね。

話を進めていく中からみえてきたことによると、

研究者達が「これまでに経験した『グリーフを伝える状況』」には大きく分けると以下の4パターンがあったようです。

 

①「一般の人」に講演会などで伝えるとき

②友人、家族、ピアに伝えるとき

③医療・福祉従事者などに伝えるとき

④まだグリーフについて知らない人について伝えるとき

 

ひとつひとつ、どんな発言が行なわれたのかをみていきましょう。

 

①「一般の人」に講演会などで伝えるとき

・亡くしてから3ヶ月後に講演を依頼された。何を伝えたいかがよく分らなかった。

・話している途中で感情があふれてきて、話せなくなった時間があった。講演後、感動した参加者に号泣されたとき、感情移入して欲しかった訳ではなく、もっと伝えたいメッセージを伝えられなかったことに愕然としてしまった。

・亡くしてからしばらく時間が経ってからの話では、感情的二ならず「沢山の方に助けてもらったこと」「辛いときには周りに声をかけていいこと」を伝えられた。

 

 

②友人、家族、ピアに伝えるとき

・亡くした人の話題や自分の心の動きも、日常の話題の一つとして話せる。

・ピアやグリーフについてよく知っている人相手だと、余計なことを考えずに話せる。

 

③医療・福祉従事者などに伝えるとき

・心身の反応の他に、支援する側に立つ際の注意点も伝えるようにしている。たとえば、「待つことも支援の一つ」「支援する人との金銭トラブル、男女のトラブルになるリスクもあること」など。

 

④まだグリーフについて知らない人について伝えるとき

・相手にショックを与えないように、オブラートに包みながら、「こんな気持ちになった」「こんな症状になった」「こんなことを言われて辛かった」などということを話している。

・矛盾した感情「元気に見えるけれど、悲しみになれてきただけ」「悲しいけれど、その悲しみは手放したいものではない」ということを伝えることが難しい。

・どうせわかってもらえないし、相手も困るだろうから伝えない。

・「重たくならないように」話す。

・「自分が話したいこと」ではなくて「相手の反応をみて」話している。

 

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では、誰に伝えるとしても、「伝えたいこと」ってなんだろう?

 

みなさんからの意見をまとめると、、、

 

『グリーフを抱えることは全ての人に起こりうる人類に普遍的なこと。ただ、グリーフを抱えたその人の体験や反応は一般化できるものではなく、その人独自のものなので、比べるものではない。そして、どんなに元気そうに話していても、常に心にあることこそ話せていない場合が多くあることも知って欲しい。』

 

、、、ということかな。

 

そして、そもそも、「なぜ伝えるのか」。

それは、「グリーフを抱えた人の役割」だという人もいます。

 

それは、自身の体験を語ることで、『家族の物語』やメッセージ(たとえば、「健康診断は必ず受けて!」)を語って、他の家族のグリーフが変わるかもしれないから。

 

そして同時に、『その人の物語』、つまり失った事実だけではなく、その前のことや亡くなった方のことを話すことによって、どんな人生を生きてきたのか、また失われた未来についても想像することができるから。その人の話をできることや知ってもらうことも嬉しいし、相手が、自分や身近な人のこととひきつけてなにかを感じてくれるかもしれないから。

 

 

 

ところで、先ほどの「伝えたいこと」に出てきた、「常に心にあること」とはどんなことなのでしょうか。

『どうして死んじゃったの』『どうやって死んだの』『そもそもどうして病気になったの』、、、そういうこともあるそうです。

 

この「なぜ」については、またSeason4で研究を進めていく、、かもしれません。

 


2022年開催予定のSeason4、また新たな出会いや発見に研究員一同期待しています。

 

スケッチノート

Season3-5 Sketch Note

 

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『グリーフを抱える人の当事者研究』目的

①「身近な方との死別によるグリーフ」について、同じような体験をした仲間と集い、語り、聴き、共感し、語り直す機会とすること。

② それらを通じて感情や考えの整理をし、新たな意味づけをすること。

③「グリーフを抱える人」と共に生きるためのヒントを提供すること。

 

 

『グリーフを抱える人の当事者研究』実施テーマ一覧

Season1(2018年 5回)

第1回「喪失後の体調変化について」

第2回「宗教とグリーフの関係について」

第3回「社会的役割とグリーフについて」

第4回「グリーフと共に生きる。

      グリーフと共に生きる人と生きる。」

第5回「これまでの振り返り」

 

Season2(2020年 1回)

第1回「最近の様子」

 

Season3(2021年 5回)

第1回「写真展に『会いに行く』」2021年4月22日(木)10:00-11:30

第2回「亡くなった方との関係性の変化」2021年5月27日(木)10:00-11:30

第3回「あの人を想い出させる〇〇」2021年7月30日(金)10:00-11:30

第4回「フラッシュバックの状況報告」2021年7月30日(金)10:00-11:30

第5回「グリーフを伝えること」2021年10月1日(金)10:00-11:30

 

 

【グリーフを抱える人の当事者研究についてのお問い合わせ】

医療法人稲生会 目黒

011-685-2799

meguro-yu@kjnet.onmicrosoft.com