2020年度の第1分科会テーマは、昨年度に引き続き「地域コミュニティ」。その枕詞に「このコロナ時代の」を加えた地域コミュニティについて参加者の皆さんと考えを深めました。
2020年、新型コロナウィルス感染症(Covid19)によって大多数の生活に様々な制限が加わりました。これまでどおり自由に人と会ったり、外出することすらできない。多くの人にとって不都合な社会になったともいえるかもしれません。
その結果、これまでの「地域」の概念も変わりつつあります。物理的環境を共有することなく、オンライン空間で人と出会うことも増えました。「人と人のつながり方」を変えたともいえるかもしれません。
いままさにこの新たな環境を受け止め、試行錯誤しているみらいの担い手のスピーカー4名とともにこの時代の地域が進むその先について考えました。
まず、障害当事者という立場で様々な発信を続ける登り口倫子さん。
これまでたくさんの不都合を「致し方ない」と思い込んでしまっていた、自分の「心が麻痺していた」と語る登り口さんは、感染症の影響で大多数が不便になった途端にこの社会が劇的に変わっ事実に驚かされたとお話されました。自分があきらめていたことは決して「致し方ない」ことではなかったという気づきは、大きな学びのきっかけになりました。
「様々な困難を、日々の重力におされて『致し方ない』と諦めてしまうことがよくある」と語ったのは学生の鷲谷さん。制度の狭間で諦めざるをえないと感じてしまう。そういったことを決して見過ごさず、丁寧に取り組んでいきたい。それは、高齢者の皆さんとの対話から、互いに気にかけあう関係性の豊かさを実感されているからこそかもしれません。
60名を超える仲間たちとボランティアに取り組まれながらも「何もすごいことをしているわけではない」と語った鷲谷さん。むしろ自分たちの悩みを聞いてもらって助けられていると感じているそうです。あきらめざるを得ないという自分の思い込みを打破するのは、もしかするとそんな一歩から始められるのかもしれない、そういう気づきにつながりました。
そして、YouTubeやクラウドファンディングを駆使しながら、多くの人を対象にメッセージを発信しながら、より魅力ある北海道の未来を目指して活動をする北海道大学の末神憧さん。あらゆる人と対等な関係を築きやすく、フットワークの軽い学生ならではの立場を最大限に活かしたい。そのために学生をどんどん活用してほしい、と力強い言葉でエールを送ってくれました。
そして福祉教育を展開する社会福祉法人ゆうゆうの荻原さんは、ひとりひとりが弱みを強みに変えていく、そんな個々人のリアルな気づきが重要であるということをお話されました。この地域をよりよくするために、自分のできることから、その役割を果たしていく。「自分には何ができるだろう」。そう考えることが、自分ごととして考える第一歩なのかもしれません。
多様な困難を多くの人が自分ごととして実感したいま、全ての人が本当の意味でより良い社会を求める当事者になれたとも言えるのかもしれません。この学びを具体的な一歩にどのようにつなげるか。その問いはいま、私たち一人ひとりに課されています。
以下は、ディスカッションの流れをグラフィックレコーディング(木村ほのかさん作成)です。
第一分科会 企画担当
高波千代子