2020年1月28日に北海道で初めて新型コロナウイルス感染患者が発生、2月14日には札幌で初めての患者が発生、その翌週の2月22日には医療法人稲生会が文部科学省と共催する「ともに学び、生きる 共生社会コンファレンス」が予定されていた。
イベント開催4日前、2月18日の時点で札幌の感染者は2名、北海道全体で3名、日本全体では52名だった。北海道外からの参加者への配慮を考えると、開催可否の判断はリミットだと考え、文部科学省とも相談の上で「感染対策に留意して開催。一部オンラインも併用」という方針とした。翌週末だったら間違いなく中止だと思っていた。
2月20日に政府より出された声明では「イベント自粛は一律に要請しない」とのこと。ドタキャンになることもなく、オンライン参加の仕組みも用意でき、いざ開催へ。
当日は、運営スタッフとなる稲生会職員は全員マスク着用、来場者にもマスク着用を呼びかける。各会場入り口にアルコール手指消毒薬を用意。事前に「体調不良の方はオンラインでの参加を」と呼びかけたこともあり、当日は咳をする人も全くいない状況で無事終了。コンファレンス終了の1時間後に、札幌市から「イベントの自粛を」という声明が出される。ぎりぎりセーフ。その後に参加者で体調不良となった方もいなかった。
その後、北海道での患者は増え続け、コンファレンス1週間後の2月28日には札幌市13名、北海道66名、日本全体で208名と、北海道は国内で最も感染者の多い地域となる。同日い北海道知事独自の「非常事態宣言」が出され、週末の外出自粛要請がなされる。ほぼ時を同じくして突然の「全国一斉休校」も始まった。
3月に入り、法人としては定期的に「コロナ対策会議」を開催。地域の感染状況や、次々と入ってくる外部からの情報に応じてその都度対応を修正。3月中旬に向けて北海道では感染が終息し、3月19日に北海道独自の非常事態宣言は解除となる。ただ、全国ではこの週末の三連休で感染が拡がったとされている。翌週末には東京で外出自粛要請がなされるなど全国で感染者が増加するも、政府による緊急事態宣言は出されず。そのまま4月へと突入し、転勤や入学などによる移動が始まる。
札幌市では4月1日より動物園などの公共施設を再開するも、東京を中心に全国的には感染が急拡大し、4月7日に全国7都県を対象として緊急事態宣言が出される。北海道にも予想通り「第二波」が襲来し、4月12日には北海道・札幌市により再び独自の「緊急共同宣言」が出される。これを受けて稲生会では、組織内での感染拡大予防のため事務所出勤を1階と3階に分ける「分散出勤」を準備、4月15日から実施する。その翌日には緊急事態宣言が全国に拡大されることになり、北海道は「特定警戒都道府県」に指定されることになる。この時点で、事務所を分散するのではなく、本格的に在宅ワークを取り入れた分散出勤スタイルへと転換することを決定した。
2020年6月8日 土畠智幸