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生活者007

2020/05/15(05/25公開) みらいつくり個人誌『生活者』No.007 発行者:松井翔惟

 手稲山の上の方にはまだ雪が残っているのに、下の方からじわじわと緑が増し、その緑は濃くなってもくもくと立体的に膨らんでいるように見えます。山のてっぺんに立つと、そこはまだ冬なのでしょうか。「見える山の上は冬で、私が今いる場所が夏だとしたら、その間くらいに春があるのかもしれない」と考えごとをしています。季節は、時間ではなく空間で分かれているのかもしれません。

 私には小学校五年生の友達がいます。最近、お母さんを通じてLINEで連絡をとっています。彼は、今週楽しかったことがあったと話していました。「クリームソーダを作って食べた」とのことでした。透明のサイダーを、ガラスのコップに半分より少し多く入れて、スーパーカップのアイスを静かに上から入れるそうです。アイスを上からつついて溶かしながら飲むと最高だと聞きました。

 妻にその話をすると「私ならメロンソーダがいいな。あなたはコーラで作ったら?」と言われました。想像すると、いても立ってもいられず、私はマスクをして自転車に乗って、近くのセブンイレブンに向かいました。ガランとした店内で、メロンソーダとゼロカロリーコーラを見つけました。ハンドルに引っ掛けたレジ袋の中のソーダが揺られないように気をつけながら、家まで急いで帰りました。

 妻がお風呂から上がってきてから、急いでジュースをグラスに入れました。バニラアイスはカチカチで、私が焦ってすくおうとするとスプーンが折れそうになりました。イメージにあった、まんまるのバニラアイスは作ることができませんでしたが、そこにこだわっている場合ではありません。友達の言っていた「泡がすごく出るよ」との言葉を思い出しながら、ゆっくりと炭酸にバニラアイスを落とします。ゆっくりぶわぶわと泡の塊が膨らんでいきます。泡に口をつけて飲んでみると、その味は、思っていたよりも薄く感じました。目の前にある立体的で荒い泡は、コーラで作られるよりも、無色透明のソーダで作られた方が美しいだろうと思いました。

 写真を撮って、彼に送りました。すると、偶然、同じ時に、クリームソーダをつくって食べているとのこと。彼も、自分で話していて、食べたくなったのでしょう。彼から「今度、飲み会やろうね」とメッセージが送られてきました。日本一楽しい「オンライン飲み会」になるだろうと思っています。