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第5回 みらいつくり哲学学校 『世界哲学史』「1巻4章・8巻8章」開催報告

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22/5/17

 

2022年5月17日(火) 10:30~12:00、2022年度第5回となる「みらいつくり哲学学校オンライン」を開催しました。

 

奇数回は、ちくま新書『世界哲学史』を第1,8巻から「折りたたみ」で読んでいきます。

 

第5回は、『世界哲学史』の1巻4章と8巻8章についてです。

テーマは、「1巻4章 中国諸子百家における世界と魂」、「8巻8章 日本哲学の連続性」でした。

 

1巻4章 中国諸子百家における世界と魂では、魂について、『胡蝶の夢』というお話などを通して、「寝ているときは魂が交わり、目覚めると形(からだ)がはたらく」という荘周による考えを深めたり、

『説苑(ぜいえん)』には、「精神は天にあるもので、形骸は地にあるものだ。精神が形を離れると、それぞれの真に帰する。したがって、鬼(き)という。」のように、魂や精神についての話がありました。

それらを通して、仏教との連関について触れたり、儒家の世界論と魂論などについて語られていました。

 

8巻8章 日本哲学の連続性では、近代以降の時代に限定し、その範囲で「日本哲学の連続性」について考えるものでした。西周の「観念論」や井上哲次郎の「現象即実在論」、西田幾多郎の「現象即実在論」に論理的基礎を与えた「日本型観念論」は連続性を持っていること、「自己否定を含み自己矛盾的に展開する連続性」という日本哲学の特徴は、西田哲学を超え、後の、田辺、三木、九鬼、和辻などにも及んでいるというという話でした。

 

ディスカッションの時間は、観念論や唯物論、実証主義の違いは何かという質問や、胡蝶の夢の話(ある人が夢の中で蝶になり、楽しんでいた。夢の中のその出来事は、その人が蝶になったのか?あるいは、蝶がその人になったのか?という話)が面白かったという感想がでました。また、魂と身体に関連して、現在流行しつつあるメタバースについても、魂(精神)がアバターという別の体に入ることから、メタバースをどのように捉えるかということで話題にあがりました。

 

 

夢の中でもし自分が蝶になったとして、それは「自分が蝶になったのか」、それとも「蝶が自分になったのか」。そんなことを考えたこともありませんでした。

 

次回、第6回(偶数回)は、5月24日(火)10:30~12:00、エマニュエル・レヴィナス『全体性と無限』より「第Ⅰ部 <同>と<他> B.分離と言説(の前半おおそよ4節まで)」を扱います。

第7回(奇数回)は、6月7日(火)10:30~12:00、ちくま新書『世界哲学史』より「1巻 5章と8巻7章」部分を扱います。

 

参加希望や、この活動に興味のある方は、下記案内ページより詳細をご確認ください。

皆さまのご参加をお待ちしております。

 

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2022年度哲学学校のお知らせ

 

執筆:吉成亜実(みらいつくり研究所 リサーチフェロー兼ライター)

 

 

 

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