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みら読_開催報告_特別企画「『百年の孤独』を読もう」③

第30回みらいつくり読書会は、特別企画「『百年の孤独』を読もう」の第三弾(最終回)でした。

【日時】
2021年7月12日(月)16:00〜17:00
【課題図書】
ガルシア=マルケス『百年の孤独』
【参加者】
11名(うちラジオ参加6名)
【板書記録】

第3回(最終回)である今回は、14〜20章を扱いました。
前回話題になった「世代間の相似性」を色濃く表現しながら、マコンドという共同体が消えていく様子が描かれています。
終盤にある人物が笑います。その理由は以下の通りです。
「この一家の歴史は止めようのない歯車であること、また、軸が容赦なく徐々に摩滅していくことがなければ、永遠に回転し続ける車輪であることを知っていた。」(p.450)
この一文が『百年の孤独』を言い表しているのかもしれません。

私はこれまで「孤独」という言葉に注目しながら読み進めてきました。
「孤独」と「権力」についてが描かれていました。
「孤独」と「性」についてが描かれていました。
最後に生まれた子どもについては以下のように書かれています。
「この百年、愛によって生を授かった者はこれが初めてなので、これこそ、あらためて家系を創始し、忌むべき悪徳と宿命的な孤独をはらう運命をになった子のように思えた。」(p.467)
最後に出てきたキーワードは「愛」です。
「孤独」と「愛」…。

「愛」に注目して、もう一度読みたいな。
共同体の「外部」の描かれ方に注目して、もう一度読みたいな。
家系図をノートに書きながら、もう一度読みたいな。
登場人物の特徴をまとめて構造化しながら、もう一度読みたいな。

『百年の孤独』はまさにもう一度読みたくなる作品でした。
 
 

私たちは、アフリカ文学・ラテンアメリカ文学と旅を続けてきました。
作品ごとに、当たり前だと思っていた自らの世界観を横殴りにされるような衝撃がありました。
南半球を旅する前と後では、私自身の読書観が変わったように思います。
次回、第31回はアメリカ文学へと旅を続けます。
まずはキューバにゆかりのあるヘミングウェイ『老人と海』。
おそらく、「親指から生まれた赤ちゃん」は登場しないでしょう。
おそらく、「シーツとともに天にのぼっていく美少女」は描かれないでしょう。
少し、ラテンアメリカ文学「ロス」を引きずりながら、旅を続けたいと思います。

ということで、
第31回みらいつくり読書会の課題作品はヘミングウェイ『老人と海』。
7月26日(月)16:00〜17:00に開催します。
これまで読書会に参加したことのある方も、そうでない方も、ぜひご参加ください。

【事務局】
みらいつくり研究所 松井
(matsui-ka@kjnet.onmicrosoft.com)