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G suite導入顛末記 その8  G suiteの機能② チャット

第2回 https://www.futurecreating.net/works/works-929/ で紹介した、G suite導入前に稲生会が使っていた(現在もG suiteと併用している)システムである「メルタス」には無かった機能が、「チャット」機能である。今回の分散勤務体制への移行にあたり、一番役立ったのがこのチャット機能であると言ってもよい。

チャットについてはもはや説明は不要と思うが、LINEやFacebookのメッセンジャーなどのSNSで用いられている、テキストや絵文字などを瞬時にやり取りする機能である。メルタスにも「メッセージ」というメール機能があって、それを使って1対1、あるいは複数人でのやり取りはできるのだが、毎回Web上でメールを送ってそれを確認して…という作業が必要になるので、時間がかかってしまう。同じく第2回で述べたが、2018年9月の北海道胆振東部地震によるブラックアウトの際には、迅速なやり取りが必要となったため、応急的に法人職員によるLINEグループをつくってチャット機能を活用した。とはいえ、LINEは個人のアカウントを用いたため、実名ではないこと、プライベートと仕事は分けたかったことなどから、その後は使用しないようにしていた。今回G suiteを導入したことにより、業務用としてチャット機能を使えるようになったのである。

G suiteのチャット機能は、そのまま「Chat」という名前になっている。以前は「ハングアウト」という名前だったようだが、現在はChatに移行している(ハングアウトも2020年9月までは使えるとのことだが)。Chatの使い方としては、G suiteのG mail画面からもそのまま使えるが、Chatのアプリ(スマホアプリとデスクトップアプリの両方がある)をダウンロードして使う方法がある。

アプリを開くと、「チャット」と「チャットルーム」の2つが表示される。「チャット」は、1対1でのメッセージのやり取り、あるいは「グループメッセージ」として複数人でやり取りする。「チャットルーム」も同じく複数人でやり取りするのだが、それぞれのチャットルームに名前をつけることができるのと、途中でメンバーを追加することができる。また、グループメッセージと違ってチャットルームには、「スレッド機能」が使用できる。同じメンバーでやり取りする場合でも、異なるトピックについて同時にやり取りすることも多い。その場合は、トピックごとに別々のスレッドを立ててやり取りをする。ひとつのトピックの中で大量のやり取りがなされた場合、途中が⑳といったように省略(この間に20件の書き込みがありますよ、という表示)され、一番上の書き込みが表示されるので何のトピックなのかがわかる仕組みになっている。

 

私であれば、2020年8月21日現在で23のチャットルームのメンバーになっているが、毎日書き込みがあるのはその半分くらいである。例えば、今だと「感染対策室」というチャットルームがあり、患者さんやご家族、職員や家族についての感染対策のことで、迅速に対応する必要がある場合は、感染対策メンバー(現在は全職員75名のうち15名)でやり取りをし、細かな方針を決定している。クリニックでの診療については、「診療チームの部屋」というチャットルームがあり、クリニックで訪問診療をしている患者さんの診療に関する膨大なやり取りが毎日なされている。

稲生会の生涯医療クリニックさっぽろでは、在宅で人工呼吸器を使用している患者さんの診療を多く行っているのだが、全ての患者さんについて、1~2年に一度、在宅での呼吸機能検査を行っている。分散勤務体制になる前は、その検査結果を紙に印刷したものをセラピストが提示し、人工呼吸管理の方針を検討するという時間が朝ミーティングの後に毎日設けられていた。分散勤務体制になってからは、それをチャットルームで行っている。患者さんごとに別々のスレッドを立て、そこに検査結果の写真をアップし、治療方針を決定している。

 

Chatアプリでは、テキストのやり取りに加え、そのままMeetというビデオ会議に移ることができる。「ちょっとこれ、チャットのやり取りだと時間かかっちゃうから、このままテレビ会議で話せる?」みたいな感じ。

 

現在の分散勤務体制では、このチャット機能を使って毎日膨大なやり取りをしている。問題なのは、その「膨大さ」(笑) メッセージあるいは書き込みがあったときに通知する機能をオンにしていると、ずっとバイブが鳴っているみたいなことになる場合があるので、適時オフにしたり、チャットルームごとに通知するかどうかを変えているスタッフが多い。

 

それからもう一つの課題は「書き込みをする時間」。業務用携帯あるいは個人用の携帯もしくはパソコンでG suiteを使っているので、慣れないうちは時間外や休日などに書き込みをしてしまうことも多かった。今はだいぶ慣れてきたので、よほど緊急の案件でなければ時間を考慮しながら書き込みするようになっている。

 

今後、災害時など緊急時についても、このチャット機能を使って迅速なやり取りができると考えている。別の回でまた紹介するが、共有ドライブの中に保存されている災害対策用のファイルなどもチャットを使ってすぐに共有できるので、以前よりも迅速かつ確実な対応ができると思う。もちろん、セキュリティ面についても、G suite外部の人とのやり取りはできない仕組みにしているので、誤って外部に内部情報を送ってしまうということもなく安心である。