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生活者009

令和2年8月24日発行 みらいつくり個人誌『生活者』No.009 発行者:松井翔惟

畑に咲いた花を見て、季節を感じることがあります。
数えるほどしか作物の種類は知らないけれど、この花と茎は自信をもって当てられます。

今日はどんぐりの森に通う子どもたちと一緒に芋掘りに行きました。
私は「暑いな」と手拭いで額の汗を拭きました。ある子どもは鼻の頭に汗をかいていました。
雲が少しだけかかった時、風がすーっと通り抜けた時、とっても気持ちが良かったです。
芋を掘ろうと、土に身体を近づけます。
ふわっと土の匂いがして、足の裏から土の熱が伝わってきます。
ざらざらしている芋の茎を手でしっかりと握ります。私が握った箇所とは違う場所を子どもたちが触ります。
手を一所懸命握る子どもたち。私も力を入れすぎず入れなさすぎず一所懸命に芋を引きました。
まだまだ芋は抜けません。
「もういっかいひっぱるよ」と声をかけてもう一度引っ張ります。
子どもは一所懸命に茎を握ります。
まだまだ芋は抜けません。
「あといっかいだけひっぱるよ」ともう一度声をかけました。
「ぶちぶちぶち」と、茎を握った手から独特な音が伝わってきました。

私たちは、一緒に、暑い日差しを浴びました。
一緒に土の匂いを感じて、一緒に「ぶちぶちぶち」と音を触りました。
子どもたちが何を感じて、何を思ったのか、私は全てを知ることはできません。
でも、一緒に土の上に立って同じ茎を掴み、同じ音を触って、たくさんのじゃがいもを見た時、少なくとも私の心はとってもいい気持ちでした。

変わった色をしたじゃがいも「レッドムーン」。スーパーで見かけたら、子どもたちと一緒に掘り起こした今日を思い出すだろうと思います。

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