Works

みらいつくり研究所ホームページ開設によせて

2020年4月1日
みらいつくり研究所所長
土畠智幸

 みらいつくり研究所は、母体となる医療法人稲生会の事務所が2019年4月1日に移転したのと同時に開設されました。医療法人稲生会は、たんの吸引や胃ろうからの経管栄養といった医行為を日常的に必要とする「医療的ケア児」や「医療的ケア者」を対象として、訪問診療・訪問看護・居宅介護・短期入所・相談支援事業を行っています。このような医療・福祉サービスの提供に加えて、医療的ケア児・家族の生涯学習の場である「みらいつくり学校」、医療的ケア者とともに学ぶ「みらいつくり大学校」、困難を抱える人々の活動についてメディアを通して伝える「みらいつくりスタジオ」、喪失を抱える人々とともに運営する「みらいつくり食堂」などの活動を行ってきました。「困難を抱える人々とともに、よりよき社会をつくる」という医療法人稲生会の理念を具現化するための実践研究を行うのが「みらいつくり研究所」です。

 2020年4月1日現在、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、日本でも政府による緊急事態宣言がなされるかもしれない状況となっています。私たちは、困難を抱える人々と「ともに」学び、実践する「コミュニティ」をつくることを重視してきましたが、このウイルスはまさにそのコミュニティを分断します。生命・生活・人生といった「いのち」を脅かし、人々の連帯を阻害し、人々の心に「不安」を侵入させ、「よりよき社会=みらい」を描くことなどできないような気持ちにさせていきます。しかしながら私たちは、こういった危機も含めた困難から学び、同じ困難を抱える者同士として、連帯し、実践してきました。目の前にあるこの困難からも、これまでとは違ったコミュニティでともに学び、みらいを描いていくことができると思います。

 今回新たに「みらいつくり研究所」として公開するホームページでは、私たちの活動を文章や映像で紹介していきます。また、すべての投稿に「タグ」をつけて検索できるようにすることで、知のアーカイブをつくっていきます。医療法人稲生会の職員はもちろん、患者さんやご家族、みらいつくり大学校でともに学ぶ仲間や地域の方々など、様々な人が自身の活動を紹介したり、自分の思いを発信できる場にしていきたいと思います。私たちの活動に賛同し、「ともに学び、実践するコミュニティ」に加わりたいという方は、ご連絡頂けますと幸いです。

 このような状況にあってこそ、「困難を抱える人々とともに、よりよき社会をつくる」ということをともに探究していけたらと思っています。