2025.10.12_公開
10月10日金曜日.
外で店番をしていると,通りかかった人から
「風邪引かないでね」と心配される季節になりました.
ある方から,
「行っても行ってもお休みなんだけど」
と言われました.
その方は怒っているわけではなく,
笑いながら話してくれました.
10月8日の午後と,
10月9日の午後について,
巻き寿司文庫を半日ずつお休みしたのですが,
その方とはタイミングが合わなかったようです.
2回来てもらって,2回休みだと,
「この店はいつも休んでる」
と認識されるようです.
自分が何かのお店に行った時を想像すると
確かに同じような感覚かもしれません.
あとは,しっかりいつやっているのかを明確に伝えることが大切ですね.
10月10日は帯広に住んでいる「やすき」が稲生会に来ていました.
私が外で寒そうにしながら店番をしていると,
やすきが横の椅子にスッと座りました.
やすきは私の肘に自分の肘をグッと当ててきます.
私がやすきの方を見ると,やすきはニコッと笑います.
約束したわけでもない二人で店番の時間を過ごしました.
そんな時に,ランドセルを背負った子どもが通りかかりました.
本を指さして,
「ちょっと読んでいっていい?」
と声をかけてきました.
私は,「椅子もあるからよかったら」
と言いました.
その子は少しの間,椅子には座らないまま,絵本を数冊パラパラと読んでいました.
帰り際にその子は
「家に帰って自転車でまたくるね」と言いました.
私は「わかったよ,待ってるね」とだけ伝えました.
閉店する予定が16時であることを伝え忘れてしまいました.
寒い時間が続きました.
私が「寒いから中に入っていいよ」と言うと,
やすきは「おう」と言って,中に入っていきました.
しばらくして,またやすきがやってきました.
「寒くない?」と聞くと,
やすきは「大丈夫」と言って,隣に座りました.
二人で店番の時間を過ごしていると,
さっきの子どもが,一人で自転車に乗ってやってきました.
「買いに来た」
ー「どの本か決めてるの?」
「うん」
ー「何年生?」
「三年生」
ー「だったらこっちもおすすめだよ」
「弟が2才なんだけど,保育園の先生に,『ばいばい』って言えるから,
さよならって意味がわかってると思うんだよね.だからこの本を読んであげたいと思って.」
その子どもは,わかやまけん『さよなら さんかく』を指さしました.
いくらかわからないけれど,チャリンチャリンとその子どもはお金を貯金箱に入れました.
私が後ろを振り向いたタイミングで,
「イェイ!」と子どもの声が聞こえました.
私がパッと振り向くと,
その子どもとやすきがハイタッチをした後でした.
なぜハイタッチをしたのか,
どちらからハイタッチをしようと合図したのか,
私にはわかりません.
でも,二人の表情から,いいハイタッチであったことは伝わってきました.
寒くはなってきたけれど,もう少し続けてみようと思います.
2025.10.12
みらいつくり研究所
手稲まちごと巻き寿司文庫 店主 まついかい