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グリーフを抱える人の当事者研究Season5-2 開催報告

   

「グリーフを抱える人の当事者研究」Season5-2
開催報告

 

 (前回までの当事者研究開催報告につきましてはこちらをご覧ください)

 

2025/7/10(木)オンラインにてSeason5の2回目の研究会が行われました。
今回のテーマは「”グリーフ当事者”としてのふるまい方」

「子どもを亡くした親はこう振る舞うべき」
「夫を亡くした妻はこう振る舞うものだ」

そんな、目に見えないしきたりが、
あるようで、
ないようで、
やっぱりあるようで。

だれもそんなマニュアルを見たこともなく、聴かされたわけでもなく、
でも、「ある」んじゃないかと思ってしまうもの。

大災害の後なども、直接知っている人を亡くしたわけではなくても
「自粛」「遺された人の振る舞い」について考えた方も少なくないのではないかと思います。

これまでのシリーズでも度々話題になった、
五本の指に入る戸惑う会話のシーンがあります。

「お子さんは何人いらっしゃるんですか?」

⇒ 2人です(亡くなったお子さんのことは数えずに答える)
⇒ 3人です(亡くなったお子さんを含めて答える)
⇒ ああ、普通にいますよ

色々きかれると面倒くさいから、
亡くなったことを告げると「相手を困らせるから」
亡くなったことを告げると「話の腰を折るから」
亡くなったお子さんがいなかったことにしたくないから、
亡くなったお子さんに失礼と感じるから、

応え方、仮に応え方が同じであったとしても、その奥にある気持ちも千差万別なようです。
そうして、ご家族の中でもその反応の仕方が違うという場合も当然あります。

今回は、「ママは、『子ども何人いるの?』ってきかれたらどうやってこたえているの?」とお子さんに尋ねられたという当事者もいらっしゃいました。

そのお子さんも、「きょうだい何人?」という話題がでたときに、色々考えたのかもしれません。

小中学校は地域で決まっている校区に通う場合が多いので、
今はいないきょうだいのことに言及すると、
学年やクラスなどをきかれる可能性も高いのかもしれません。

その事に関しては、きょうだいが障がいをもっていて、地域の学校ではなく、特別支援学校に通っている場合にも共通する戸惑いだということも言及されました。

応え方によっては、今は触れたくないことに触れられてしまう、言及しなければならない気がする、「話の腰をおる」「気まずくさせる」「困らせてしまう」体験やその怖れがあるようです。

それを、「ふるまい方」に従うのではなくて、
自分の心に従って答えられる要素は、
やはり尋ねた方との「関係性」によるところが大きいようです。

とはいえ、信頼関係や安心感が既にある関係性だけではなく、

「今度飲み会に来ない?」という問いかけから
不意に「実は子どもを亡くしてそんな気分になれないんです」というやりとりの後に
もやもやせずに応えられる関係性が出来ていったという場合もありそうです。
関係性であったり、受け止める側の経験や在り方によるものなのかもしれません。

さて、次回につきましては『亡くなる前後に関わっていた人たちに係わること』

家族との死別当事者以外にも、医療福祉ご近所、ボランティアなどで「亡くなる前後に関わった」当事者のご参加もお待ちしています。
2025年9月4日(木)10:00-11:30 オンライン開催です。
ご都合のつく方はどうぞご連絡くださいませ。

 

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『グリーフを抱える人の当事者研究』目的

①「身近な方との死別によるグリーフ」について、同じような体験をした仲間と集い、語り、聴き、共感し、語り直す機会とすること。

② それらを通じて感情や考えの整理をし、新たな意味づけをすること。

③「グリーフを抱える人」と共に生きるためのヒントを提供すること。

 

 

『グリーフを抱える人の当事者研究』実施テーマ一覧

Season1(2018年 5回)

第1回「喪失後の体調変化について」

第2回「宗教とグリーフの関係について」

第3回「社会的役割とグリーフについて」

第4回「グリーフと共に生きる。

      グリーフと共に生きる人と生きる。」

第5回「これまでの振り返り」

 

Season2(2020年 1回)

第1回「最近の様子」

 

Season3(2021年 5回)

第1回「写真展に『会いに行く』」2021年4月22日(木)10:00-11:30

第2回「亡くなった方との関係性の変化」2021年5月27日(木)10:00-11:30

第3回「あの人を想い出させる〇〇」2021年7月30日(金)10:00-11:30

第4回「フラッシュバックの状況報告」2021年7月30日(金)10:00-11:30

第5回「グリーフを伝えること」2021年10月1日(金)10:00-11:30

 

Season4(2023年7月~2024年8月)

第1回「研究の研究の研究」2023年7月21日(金)10:30-12:00

第2回「死を告げるということ」2023年9月20日(火)10:30-12:00

第3回「何故死を語ることはかくも難しいのか」2023年11月15日(水)10:00-11:30

第4回「Allan Kellehear講演会の振り返り」2024年1月24日(水)10:00~11:30

第5回「コンパッションに満ちた場づくりの計画」2024年3月13日(水)10:00~11:30

「コンパッションに満ちた場作りの企画MTG」
①2024年4月24日(水)12:00~13:00
②2024年5月29日(水)12:00~13:00
③2024年7月03日(水)10:00~11:00
④2024年8月14日(水)10:00~11:00

「旅の途中のお食事会」2024年8月31日(土)10:00~13:30

 

Season5(2025年5月~現在進行中)

第1回「『もの』どうしてる?」2025年5月15日(木)10:00-11:30

第2回 ”グリーフ当事者”としてのふるまい方 2025年7月10日(木)10:00-11:30

第3回 「亡くなる前後に関わっていた人たちに係わること」 2025年9月4日(木)10:00-11:30

 

【グリーフを抱える人の当事者研究についてのお問い合わせ・お申し込み】

医療法人稲生会 目黒

011-685-2799

meguro-yu@kjnet.onmicrosoft.com